家族葬エピソード937：「挙手敬礼にてお見送り」：家族葬エピソード｜【公式】大分市・別府市・豊後大野市での家族葬・葬儀・葬式なら備庵（ビアン・びあん）・判田台会館

家族葬エピソード937：「挙手敬礼にてお見送り」

大正に生まれ、若き日は戦いに明け暮れた激動の時代。
満州へ渡り戦争を経験したお父様は命からがら日本へ戻り、社会の要となって経済の発展に尽力し、
強くたくましく生きてこられました。

家庭を築き、大切な家族を守るためにも懸命に働き、平和な世の中へと移りゆく歳月のなかで、
これまで頑張ってきた自分へのご褒美と言わんばかりに多彩な趣味を満喫。
社交ダンスにカラオケ、詩吟や旅行など...
一日一日を楽しむことが長生きの秘訣だったのかもしれません。

多くのご友人らと心を通わせた豊かな時の流れは、遠い日の苦労を懐かしく思い出させ、
戦時中のことをご家族によく話してくれるようになったそうです。
晩年はこぼれゆく記憶の中で、過ぎ去った日々を旅するようになりました。
気性が荒くなることもあったそうですが、挙手敬礼をすれば柔らかな微笑みを浮かべ...
喜ぶお父様のお姿に、ご家族様もつい頬が緩んでしまうほどだったとか。

たくさんのお花で旅立ちを彩り、大好物の甘いものを手土産に添えて...
「お疲れさま」「ありがとう」と和やかであたたかい時間が流れていました。

ご家族様が教えてくださったお父様のお人柄や生き様は、人生に刻んだ足跡を遺す立派なご生涯でした。
ご出棺の際には敬意を表し、出発する霊柩車に向かって挙手敬礼にてお見送りいたしました。