家族葬エピソード641:「今回もお世話になります」


今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は60代の女性の方でございました。
喪主様はご長男様がつとめられました。
喪主様にお会いするのは今回でニ回目。
昨年、お父様のご葬儀のお手伝いもさせて頂きました。旦那様と同じご親族様だけでのお見送りをされたいと言うご希望でごさいました。

ご自宅が私の自宅と近く、昨年亡くなったお父様もお母様も顔見知りと言う事で私自身が特別な気持ちでのお手伝いとなりました。
祭壇のお写真はお洒落なワンピースを着ていつもより少しよそ行きな感じの奥様でした。

旦那様が亡くなられた後、愛犬を連れ毎日散歩をされるお姿をお見掛けしてお天気の話しや、季節の事柄などお話させて頂いておりました。愛犬のお散歩が二男様に代わって来ているのもお見掛けしておりましたがまさか闘病されてるとは知りませんでした。
お部屋にご挨拶にお伺いし、今回二度目のお手伝いをさせて頂く事を告げると
「あ〜そうですね。今回もお世話になります。」
と、ご長男の奥様は覚えていて下さったようでした。

「お見舞いに行くと、毎回二つ位『あ〜あれが食べたいわぁ。これが食べたいわぁ。』
と、食べたい物を言うんですよ。私、毎回それを探し回って次に持って行くととっても喜んで...
でももう少ししかほんの一口二口しか食べれなかったんですけどゆっくり、ゆっくり味わって嬉しそうに食べてくれて...。その顔を見ると私まで嬉しくって探し歩いた大変さも吹っ飛びました。」
献身的にお世話をされておられたご長男の奥様がお話してくださいました。
毎日大変だったけど、楽しかったとも言われておられました。

お別れの時、いつも着られていたスカート、ジャン
バーをかけて頂き皆様にお花を取ってお声掛けして頂きながらお柩に納めて頂きました。皆様じっとお顔を見られ、それぞれ言葉に出さず静かにお別れをされお蓋を閉めさせて頂きました。
ご長男様、二男様お手伝い頂きお車にお乗せいたしました。

「ありがとうございました。」
と、お声掛け頂き『お疲れさまでした』と心の中で手を合わせお見送り致しました。

先日、愛犬の散歩中に二男様と偶然お会いいたしました。
「とうとうこいつと二人だけになりました。最後に会わせてやりたかったです。」
と、言われ歩き出されたお背中がとても寂しそうでございました。

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