家族葬エピソード621：「そばにいられなくてごめん...」：家族葬エピソード｜【公式】大分市・別府市・豊後大野市での家族葬・葬儀・葬式なら備庵（ビアン・びあん）・判田台会館

家族葬エピソード621：「そばにいられなくてごめん...」

｢そばにいられなくてごめん...｣

ご挨拶をさせて頂いた時はとても静かで表情も硬かった喪主様でしたが、
お柩の窓からじーっとお母様のお顔を見つめられておりましたので、
私がお柩の蓋を少しずらし、お顔に触れられるように致しましたら、
｢ありがとうございます｣
と、お母様の頬にそっと手を添えられ少し表情が柔らかくなられました。
故人様のご兄弟が、
｢いつも心配の電話が掛かってくるから元気で居らんとって思えるって話してた｣
と、言われると少し俯きながらお柩をそっと撫でておられました。

県外でお仕事に励みつつも大分に1人で暮らされていたお母様の事は心配だったと思います。
ご親族様より、
｢年に何回かちゃんと大分に帰ってきて親孝行してたから父ちゃんも母ちゃんも嬉しかったやろ｣
｢コロナがあって今年は帰って来れんかったけど連絡は取ってたみたい｣
と、お話があり喪主様と故人様の間の深い親子の愛情を感じました。

ずっとお柩のそばでお母様に寄り添われていた喪主様。
静かに...
何かを語りかけることはありませんでしたが、見つめる瞳には悲しみと寂しさが滲んでいるようでした。

お別れのお花入れではたくさんのお花を皆様で入れられ最後の方では、
喪主様がゆっくりと1輪ずつお母様のお顔の周りに添えられ、
｢母さん...｣
と、小さくつぶやき頬に触れられると涙がぽろりと零れていきました。

とても静かなお別れでしたがお母様とゆっくりお別れをされたのではないかなと...
静かに寄り添いお手伝いさせていただけて嬉しく思いました。