家族葬エピソード455:「女の子だから逢わせてあげたかったんです」

今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は60代の男性の方でございました。
喪主様は37年連れ添われ、最後にお世話をされておられた奥様がつとめられました。

数日前に、故人様の娘様方がご相談にお見えになったばかりでございました。
少し前に、病院からご自宅に帰られ奥様がお世話をされていらっしゃると言われておられました。
「どんどん悪くなっていく父を、一生懸命見ている母を連れてここに来るのは正直出来ないと...だから妹と二人で『話だけ聞いておこうか』と...」
そうおっしゃっておりました。
妹様はお腹が大きく7月にお子様が生まれて来るそうで
「逢わせてあげたいんですよ」
と、愛おしそうにお腹を撫でておいででした。
流れやプランのご説明、ご要望、ご心配な事などお話をさせて頂き『あ~安心しました』と、その日はお帰りになりました。

ご相談に見えた5日後、お父様が亡くなられたとご連絡ありその日はこ自宅でご家族だけで過ごされました。
翌日、私共がお迎えに伺い式場へお連れ致しました。ご姉妹は私の事を覚えていて下さり
「先日は、ありがとうございました。よろしくお願いします」
とおっしゃって頂きました。

優しくて、誠実。穏やかで冷静、でもユーモアがあり皆に頼りにされていたとのこと。
野球の阪神ファンでテレビの前でいつも応援しておられたそうです。
応援グッズや皆様で写られたお写真などたくさん持って来て頂き思い出コーナーに飾らせて頂き喜んでいただきました。

天体観測もされておられたそうで望遠鏡で月や土星を娘様やお孫様に覗かせみんなが夢中になって喜ぶ笑顔を嬉しそうに見つめていたとお聞きしました。
お好きな食べ物はとんかつ、天ぷら。
紫陽花のお花がお好きだったそう。
サプライズのお供えはとんかつ、天ぷらを...紫陽花は思い出コーナーにお供えさせて頂きました。

お仕事の関係の方、お友達とたくさんのご親族様がお参りしてくださいました。
お別れのお花入れも皆様でお柩にたくさんお花を手向けて頂きお声掛けして頂いてお好きだった紫陽花、お供えも納めさせて頂きました。

「赤ちゃんに逢わせてあげることは出来なかったけど、お腹を触って貰ったから...。
女の子だから逢わせてあげたかったんです」
二女様が仰り、ご長女様、奥様はポロポロと泣かれておられました。

奥様が愛おしそうにお顔を触られご閉棺となりました。

ご相談からお手伝いさせて頂き、ご一緒に寄り添えたお式となりました。


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