家族葬エピソード402：｢そりゃ大工のおじさんが花が似合うわけないやん｣：家族葬エピソード｜【公式】大分市・別府市・豊後大野市での家族葬・葬儀・葬式なら備庵（ビアン・びあん）・判田台会館

家族葬エピソード402：｢そりゃ大工のおじさんが花が似合うわけないやん｣

今回お手伝いさせて頂きましたのは70代男性で長らく病気と闘われていたそうで横になられた姿をご覧になり喪主様は
｢キツそうな顔ばかり見てきたからこの寝顔見ると安心する｣
と静かに呟かれているのがとても印象に残っております。

ご納棺の時にお好きだった帽子とご趣味で描かれていたイラストの色紙をお棺にお納めされました。

素敵なイラストですね、と声をかけると長女様が
｢うちの子供たちから漫画を借りて描いてたんです。
大工だったのでこういうの得意だったんです｣
と色紙にそっと手を添えられてお話をしてくださいました。

故人様には3人のお子様がおり3人でお棺を囲まれ
｢小学生の時門限破って俺だけ外に出されてたことあったやん｣
など思い出を語り合っておられました。

ご用意しておりました折り紙をご家族様でたくさん折り鶴やお花を折って下さり喪主様からはお手紙もありました。
｢この人に手紙を書くなんて結婚前以来だから恥ずかしいね｣
と照れたように微笑む喪主様の目には涙が浮かんでおりました。

ご親族も多く集まられました。

お式の最後に長男様より
｢父はみんなも知ってる通り普通の人とは違う男でした。
俺たち家族もいつも振り回されてばかりで喧嘩をしたことだって1度や2度じゃありません。
でも、父の子供であることに後悔はないしこれからも父の大きな背中を見て進んでいきます｣
と涙ながらに挨拶をされると喪主様やご家族ご親族の方たちからもすすり泣く声が聞こえました。

お花入れのためにお柩の蓋を開けるとイラストの色紙を見たご親族様が
｢これ私に頂戴？形見にする｣
とお話されお持ち帰りになりました。

喪主様がユリの花をお顔の近くに置かれると
｢やっぱりあんたは花とか似合わんな｣
とおっしゃられると長女様が
｢そりゃ大工のおじさんが花が似合うわけないやん｣
と声をかけられお別れは和やかな雰囲気のままご閉棺されご出棺となりました。