家族葬エピソード391:「顔も忘れんくらい見たけん大丈夫よ」

今回お手伝いさせて頂きましたお式の故人様は90代の男性の方でございました。
喪主様は長年連れ添われた奥様がつとめられました。
式場には奥様とご長女様がぽつんといらっしゃりとても疲れたご様子でございました。
お二人とも足がご不自由で、故人様の事を思い、考えてよく寝れてないと言われておりました。

とても優しかった故人様は、毎年長期のお休みになると奥様とご一緒に旅行へ行かれていたそうです。
「6月位になると、『今年の休みはどこに行くかなぁ?何食べたいんか?』っち聞いてくれて私の行きたいところに連れていってくれて、好きなもの食べさせてくれたんよ。
九州なんかは車で色んなとこ連れて行ってくれてねぇ~。
一番遠くは北海道。
二人で食べたカニが美味しかったんよ~」
とても嬉しそうにお話ししてくださいました。

ご長女様も
「大声を出されたり、叩かれたりしたことがとかないんです。
優しくてとっても穏やかでしたねぇ~母の方が激しかったので怒ってる母を止めてくれてました」

ご長女様とはよくお好きなカラオケに行かれ娘さんが歌番号を入れ世話を焼いてくれるのが嬉しい、一緒にカラオケに行くのが楽しいと言われておられたそうです。
お好きだった昔流行った演歌を心行くまで歌われておられたそうです。

今回のお見送りはお二人。
「こんな時期なんで、ご近所の人達も断ったんよ。私たちだけでって」

お二人でゆっくりお花を入れて頂き、昨晩折り紙にお二人で書かれたお手紙を鶴に折って頂き納めさせて頂きました。
サプライズでご準備させて頂いたお好きだったステーキも奥様に入れて頂きました。

「お母さんの事は、心配せんでいいけんな。私がおるけん。」
ご長女様が最後のお声掛けをされ、
「昨日も今日も、お父さんとたくさん話したけん、顔も忘れんくらい見たけん大丈夫よ」
奥様のお言葉を頂きご閉棺となりました。

出発したお車を見送りながら、今回のお式はスタッフ皆が家族の一員として見送った感覚になるような温かく寄り添えたお式でございました。