家族葬エピソード297:「お孫様のお手紙」
故人様は90代の女性でした。
「母は社交的で誰からも慕われる人でした」
と喪主である息子さんはご挨拶の時皆様にそうおっしゃいました。
「そんな母だから沢山の人に来ていただきたかったけれど、この時期のためやむを得ず少人数の家族葬にさせていただきました」
喪主様は本当に残念そうでした。ただ、皆様のお気持ちは沢山届いていました。
式場内には所狭しと沢山のご供花。
故人様にも寂しい思いをさせないようにお供えものも沢山ご用意されていました。
「皆さん。ありがとう。ありがとう」
喪主様はいつまでも頭を下げて感謝のお言葉を伝えていました。
親族の皆様も次第に目に涙があふれ、静かにお式がはじまりました。
お式の途中で2人のお孫様からのご挨拶がありました。
お二人とも涙でなかなか言葉にならず、やっとの思いで感謝の気持ちを述べられました。
昨夜一生懸命文章を考えたようですが、うまくお伝え出来なかったらと悔やまれていたので、
「最後にお柩のおばあさまにお渡ししませんか?」
と話しかけると
「入れていい?」
と喜んで預けてくださいました。
お別れ時、お孫様のお手紙と皆様の思い出の品々、喪主様とお母様2人の思い出をお柩の中に納めゆっくりとお蓋はとじられました。