家族葬エピソード206:「人の命の儚さ、そして尊さ」心に響く

70代の男性の故人様でした。
不慮の事故により、ドクターヘリで病院に運ばれて、処置はされたものの、数日後には残念ながら帰らぬ人となってしまいました。

式場には沢山のお写真が飾られていました。
奥様と2人仲良く写っている物。
赤ちゃんのお孫様を嬉しそうに抱っこしている物。
釣りが好きだったようで魚のお写真。
他にも沢山ありました。

喪主を務められたのは奥様でした。
ご長男とご長女様御家族、他、親族のみでのお別れとなりました。

遺影写真には、飾られていた、お孫様を抱っこされている優しい笑顔の故人様のお写真でした。
そのお孫様も、もう高校生でした!
赤ちゃんだと思っていた私達スタッフは、びっくりしました。
もう1人、小学生のお孫様もいらっしゃいました。

今回、不慮の事故により、このようなお別れになり、喪主の奥様は大変後悔されているようでした。
「なぜ。私が一緒に行っていれば...このような事はなかったのかもしれないのに。
あの日に限って、いつもと違う行動を主人がしてしまって... 早く家に帰ろうかと思っていたのかもしれません...」
私は黙ってうなずいてお話を聞かせていただきました。

いつも一緒だったのが、その日に限っていつもと違う行動をされての今回のお別れとなり...
奥様はひとつひとつ思い出しながら...うっすらと目には涙を浮かべ、話されておりました。
2人のお孫様をとても可愛がり、たまにしか会えないので、日々の成長をとても楽しみにされていたと、また目に涙を浮かべて話されておりました。

故人が好きだった釣り。...釣りの道具もお孫様に譲るけれど、高校生になり、部活動などで忙しく、結局は一緒に行けなかったと、ご長女様が寂しげに仰っておりました。
時折、祭壇前で御家族様でお写真を撮られていました。  
ご長女様御家族は、開式前直前まで、お柩の傍に寄り添い...
私達スタッフは、ゆっくりと見守っていました。 
開式も迫っているお時間でしたが、私達は
「ご納得されるまでお待ちしよう」そう決めました。

儀式の最後。
通常はされないご法話をお寺様がされました。
それは、人の命の儚さ、そして尊さ。
喪家様方もうなずいて聞かれていました。
私の心にも響いたお言葉でした。

最後は皆様納得のいくまでゆっくりとお別れをしていただき...
秋を感じる晴れた空、心地良い風の吹く中の
ご出棺となりました。

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